600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス(角川SSC新書)

読了。
クックパッドの上場日に、東証での上場セレモニーを見に行ってました(一般見学客として)。クックパッド社員全員が来ていたらしく、非常に和気あいあいとしてましたよ。
僕、大学では経営学を専攻(一応…)してまして、「良い戦略には必ずロジックがある」ということを叩き込まれました。後付けもあるだろうけど、クックパッドの論理の一貫性は気持ちがいいです。


「サービスの送り手というのは、知らず知らずのうちに、お客さまやユーザーに甘えてしまうんです。送り手側が、"このくらいはお客さまにできて当たり前だよね"ということを、言語化されないレベルで思ってしまう。お客さまからすれば、それはとんでもない傲慢に映っているんです。実は、自分たちが思っている以上に、サービスの送り手側は傲慢だし、お客さまに甘えている。それが多くの場合、現実だと思うんです。」
・ユーザーを正しく理解する。


「必ず値段をつける、というのは、タダじゃないと使わないようなサービスは、タダでも使わない、という考え方です。どんな仕事でも、必ず価値がなければいけない。価値が0円だったら、面倒だからタダでも使わない。だから、値段を設定して開発をしよう、と。」
→大学の講演で、Apple元VPの前刀さんが同じことを仰っていた。
 「無料ありきのサービスではなく、課金でもユーザーが寄ってくるサービスを作らないといけない」とのこと。非常に印象に残っている言葉の一つ。


・50億円を10%伸ばして55億円にしようと目標を立てるのではなく…
「80万人のほうを見てほしいんです。80万人の10%は8万人。8万人ユーザーを増やせば、売上高は一割伸びるんです。それを積み上げていくことが、僕は商売の基本なのではないかと思っています」


「大事なのは、きちんとロジックがあることです。でも、残念ながら日本には、建築の世界でもアーチストがたくさん混ざっている。デザイナーとアーチストはまったく違うんです。ロジックがあるのがデザイナー。なぜこのドアはこっちに開くべきなのか。軸はどっちにあるべきか。動線の取り方や視線の取り方。それをプロのデザイナーはよくわかっています。」
→これも心から共感!グラフィックデザイナー佐藤卓さんは「アートは主観、デザインは客観」という言葉で表現していた。


・当り前のようにごく自然に企画された、取引先や関係者を招いての引っ越しパーティーに、佐野から待ったがかかったのである。
「もう直前だったんですが、どうして引越しパーティーをやるのか、と聞いたら、社員の誰も答えられないんですよ。お客さまを招いて、料理をふるまって、というのは決まっていた。でも、目的がないわけです。危ないんですね。ぼやぼやっとしていると、すぐに目的と手段が入れ替わってしまう」
(中略)
 招待する人に伝えたいことは何か。佐野はいった。感謝ではないか。ありがとうという思いと、これからの挑戦を伝えることではないか。もっと料理を楽しくしようとチャレンジするために引っ越しをした。今まで関わってきてくれた人たちのおかげでチャレンジすると伝える。その思いと本気度を理解してもらう。それが、ゴールのはずだ、と。